投資を知らなければ、一生奴隷で終わる?今すぐ「投資家の思想」を身につけよう。~「教養としての投資」のレビュー

ビジネス書

こんにちは。町弁のワタルです。

今回紹介するのは「教養としての投資」です。

最近、投資を始める人が増えているそうです。YouTubeでも投資に関する動画がたくさん投稿されていますよね。

金融庁の調査では、NISA(一般・つみたて)口座の利用者数は、2019年12月末時点では約1365万人だったのが、2020年9月末には1484万人に増加しているそうです。

ただ、日本人の20歳以上の人口は約1億人なので、NISA口座を開設しているのは15%弱程度ですね。

「日本人は投資が苦手」といわれています。まだまだ「貯金の方が安全」と考える人の方が多いのではないでしょうか?

本書は、そんな日本人に警鐘を鳴らします。

人生100年時代に「労働者の思想」しかもっていない人はほぼ確実に貧困におちいる。
これからは「投資家の思想」を持つことが必要である。

 

確かに、サラリーマンが22歳から定年になる65歳までの40数年間で老後30年を生きるための資産を作ることは非常に困難ですよね。

ただ、資産もないのに、いきなり「投資家になる」のは無理ですよね。だから、「投資家になる」ではなく、「投資家の思想」を持つ、ことから始めようということです。

本書は、ビジネスエリートを目指す人のために書かれた本ですが、一般の人にも十分参考になる内容になってます。

なお、本書では、「投資とは、自分が働くのではなく、投資先の人に働いてもらうことで、そこから得られた収益の一部を分配してもらうこと。」としており、基本的に株式投資を念頭に置いています。

本記事では、本書の内容のうち、①投資する会社の選びかた、②日本株式はどうか?、③インデックスかアクティブか、という3つに絞って紹介します。

 

投資する会社の選び方

さて、皆さんは株式投資をするとき、どのような会社を選びますか?

トヨタとか、Amazonとか、知名度の高い会社を選ぶでしょうか?

本書には、

売らなくていい会社を選べ

 

とかかれてあります。株を買ったら長期間売らなくても利益が上がる会社という意味です。

そして、売らなくていい会社とは、「強靭な構造」を持つ会社だそうです。

「強靭な構造」を持つ会社は長期的に利益を獲得し続けるので、そういう会社だけを選べばいい、そういうことのようです。

「強靭な構造」とは、次の3つの要素に支えられているそうです。

・高い付加価値
・高い参入障壁
・長期潮流

 

一つずつ見ていきましょう。

高い付加価値

これは、「本当に世の中に必要か?」ということ、言いかえると、その会社が存在する意義はどこにあるのか?ということです。

例えば、ディズニーという会社で考えてみます。

ディズニーは、遊園地や映画を提供している会社ですが、それだけではありません。

知り合いに子供が生まれたので何かプレゼントしようと思ったとき、何をプレゼントしようか悩むこともありますよね。

そういうときに、ディズニーのキャラクターグッズであれば、きっと奥さんも子供も気に入ってくれますよね。

このように、ディズニーは、ディズニー好きの人だけではなく、「大切な人に喜んでもらいたい」という消費者の課題を解決しているのです。

このように、その会社が世の中の人々にとって必要なサービスを提供しているかどうかで付加価値が決まるのです。

ただ、注意しなければならないのは、人々にとって必要なサービスが時代とともに変化することです。

過去に付加価値が高いと考えられた会社のサービスが今後も必要とされるかどうかという点も考える必要があります。

高い参入障壁

次に、「高い参入障壁」です。

これは、「今更その会社と張り合って勝負しようとは誰も思わないほど圧倒的に強いか?」ということです。

例えば、今更ネズミのキャラクターを作って、世界中のTシャツや文房具やクレジットカードに描かれたミッキーマウスと張り合って勝負しようと考える会社がいるでしょうか?

おそらく、ディズニーと同じ土俵で勝負しようと考える会社はないでしょう。それほど、ディズニーは圧倒的に強いのです。

ただし、「参入障壁」というのは色あせやすいものです。

ディズニーは毎年のようにヒット映画を生み、何十年にもわたって人々に愛され、何度も繰り返し消費されるコンテンツをもっているのでなかなか色あせませんが、ディズニーのように「参入障壁」を維持できるのはまれです。

新しい技術によってそれまでの「参入障壁」がなくなってしまうことの方が多いのです。

そのため、経営者は、どうやったら「参入障壁」を築けるのかを必死に考え、どの会社を買収すればいいのか、どのような人を入れて戦力にすればいいのかを考えるのです。

例えば、米国のGAFAの中で最も「参入障壁」が低いビジネスを行っているのがフェイスブックだといわれています。

そのため、フェイスブックは暗号通貨「リブラ」の発行計画を公表して話題になりましたが、これは「参入障壁」を築くためのものと考えていいと思います。

長期潮流

次に「長期潮流」です。

これは、「今これが増えている」とか、「来年は何が流行りそう」というような中短期的なブームではなく、もっと、長期的で不可逆的なものです。

例えば、「人口動態」です。30年前に50憶人だった世界の人口は、現在70憶人になり、今後は、90憶人、100憶人に増えていきます。これが「長期潮流」です。

現在、新型コロナウィルスの影響で、ディズニーのテーマパークや映画の収益が落ち込んでいますが、人口が増え続ける以上、人はまたディズニーランドに殺到するはずです。このように、ディズニーは「長期潮流」にも乗っている企業といえます。

ただ、「長期潮流」は、「高い付加価値」と「高い参入障壁」よって獲得される利益を増幅するものです。「長期潮流」があったとしても、「高い付加価値」や「高い参入障壁」がなければ長期的に利益を獲得し続けることはできません。

日本株式はどうか?

さて、「強靭な構造」を持つ会社を選べ、ということはわかりましたよね。

「で、日本株はどうなの?」

そうですよね。そこが気になるところですよね。

ただ、残念なことに、見通しは暗そうです。

かつて日本企業が築いていた「参入障壁」は、大量生産のモノづくりでコスト優位性を追求したものが多かったのです。

ところが、現状では、韓国や台湾、あるいは中国のメーカーによって、その「参入障壁」が蝕まれているそうです。

また、日本は世界の「長期潮流」である増加傾向の「人口動態」とは逆に人口が減少しています。

そのため、マーケットを日本国内だけではなく、海外に拡大する企業でないと長期で利益を獲得することは難しいそうです。

もちろん、日本企業にも海外で通用するような「高い参入障壁」を持ち、「長期潮流」に乗っている企業もあるそうです。

ただ、その数は、東京証券取引所に上場している約3700社のうち、200社程度であり、率にすると5%程度だそうです。

日本企業の株式に投資する場合、よほど勉強して、投資先を厳選する必要がありますね。

インデックスかアクティブか

さて、いずれにしても、今後、「投資家の思想」を持つには、まずは、株式投資を始めることが先決ですよね。

情報を収集し、自分の頭で考え、試行錯誤を繰り返して投資を勉強していくというマインドが必要です。

ただ、投資というのは自分の資産が目減りする可能性もあるので、ちょっと勇気がいりますよね。

そこで、最初は、100円から始められる投資信託から入るのが無難だと思います。

投資信託(ファンド)とは、投資家から集めたお金(ファンド)を運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。

そして、投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドがあります。

インデックスファンドは、ざっくりいうと、特定の株式市場の動向を示すインデックスに成績が連動するように運用される投資信託です。

これに対し、アクティブファンドは、株式市場の値動きに関係なく、運用会社が特定の銘柄を選別して運用する投資信託です。

どちらを選べばよいかというのは、なかなか難しいところです。

よく「インデックスファンドの方がコストが安いからいい」といわれますよね。

でも、選んだインデックスが利益を上げ続ける見込みのないものであれば、どれほど安くても無駄ですよね。

例えば、日本のTOPIX(東証株価指数)のような市場全体を買うインデックスファンドは、先ほど説明したように、「参入障壁」をもたない日本企業が95%あることを考えると、安くても投資するのはやめた方がいいですね。

また、日経平均株価指数(東京証券取引所一部に上場する約2,000銘柄のうちから、売買の活発さや安定度の高い225銘柄)のインデックスファンドも「参入障壁」を持たない企業が多数含まれているため、同じく投資するのはやめた方がいいです。

ただし、同じインデックスファンドでもS&P500など米国の株価インデックスに連動するインデックスファンドは、投資することを考えてもよいそうです。

これは、本当に素晴らしい会社でなければ、S&P500の銘柄に入れてもらえないし、会社としての魅力がなくなれば、あっという間にS&P500の銘柄から外されるからだそうです。

要は、インデックスなのかアクティブなのかの問題ではなく、そのファンドの中身が利益を上げ続ける企業で構成されているかどうかを考えるべきだということです。

本書には、著者がファンドマネージャーを務めるファンドが投資している企業がいくつか紹介されていますので、興味のある方は是非手に取って読んでみてください。

おわりに

さて、いかがでしたでしょうか?

本書はビジネスエリートを目指す人向けに書かれたものですので、一般の方向けに書かれた「インデックスファンドを自動積み立てにしてほったらかしにする」という内容ではないので、ちょっと内容的には難しいかもしれませんね。

でも、自分の資産を投資するのですから、勉強した方がいいに決まっています。

「老後2000万円問題」が話題になったこともあり、資産形成について考えることは重要なことですよね。

国もNISAiDeCoのような税金優遇制度を作って支援していますので、利用する人と利用しない人とでは大きな格差が生じると思います。

まずは、手数料の安いネット証券で口座を開設し、少額からでも投資を始めることをオススメします。

大手のSBI証券か楽天証券だったら安心です。

米国ETFや個別株に投資したいのであればSBI証券、楽天市場でポイントを貯めたり、ふるさと納税をしたい人であれば楽天証券がオススメです。

最後に、本書のことばを引用します。

「投資」を知らなければ、あなたは一生「奴隷」のままだ。

強烈なことばですね。私も頑張ります。

ではまた。

 

 

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