こんにちは。マチ弁のワタルです。
今回紹介するのは、ベストセラーにもなった「LIFE SPAN」という本です。
サブタイトルは「老いなき世界」。
この本では、「老い」は予防でき、治せるといいます。
本当でしょうか?
この本にはその方法がいくつか紹介されています。せっかちな人のために、その方法の一つを先に紹介しましょう。
それは、ズバリ、
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)
です。
ここ数年話題になっていて、最近サプリメントでも出てきています。
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これを飲み続けることで「老い」は予防でき、治せるそうです。ただし、ちょっと高価です。
この本では、ほかの方法も紹介されています。
では、さっそく中身にはいって行きましょう。
著者はどんな人か?
まず著者の説明です。
この手のテーマでは、著者がどんな人なのかは重要です。
著者はデビッド・A.シンクレア。
世界的に老化の原因と若返りの方法に関する研究で知られる世界的に有名な科学者。
ハーバード大学医学大学院で遺伝学の教授として終身在職権を得ている。
現在は、ハーバード大学ポール・F・グレン老化生物学研究センターの共同所長。
ニューサウスウェールズ大学の兼任教授および老化研究室責任者。
シドニー大学名誉教授。
「タイム」誌による「世界で最も影響のある100人」(2014年)に選出。
同じく「医療におけるトップ50人」(2018)にも選出。
要するに「老化」に関する世界的な権威ということです。まだ、50歳そこそこのバリバリの研究者らしいです。十分信頼できるといっていいと思います。
テーマ
この本のテーマは、ザックリいうと
・老化の原因が分かった。
・老化は当たり前のものではなく病気だ。
・老化には、他の病気と同じように予防法も治療法もある
ということです。
「予防法」と「治療法」だけ知りたい。
そう思いますよね?
でも、慌てないでください。
「老化の原因」も気になりませんか?
実は、「老化の原因」を理解しないと、「予防法」や「治療法」もなかなか理解できません。納得もできないと思います。
それに、継続して実践するためにも「老化の原因」を知っている方が有益です。
難しい内容ですが、できるだけかみ砕いて、分かりやすく説明をしたいと思います。
おつきあいください。
老化の原因
シンクレア教授はおっしゃいます。
老化の原因は「エピゲノム情報の喪失」である。
ちょっと難しい言葉がでてきましたね。
「エピゲノム」って、なかなか聞きなれない言葉ですよね。でも「ゲノム」なら、聞いたことがあるんじゃないですか?
「ゲノム」というのは細胞の内部についての情報です。
細胞は分裂によって同じ細胞のコピーを作って増えていきます。コピーを作るのに必要な情報が「ゲノム」です。
「エピゲノム」というのは細胞の種類についての情報です。
脳細胞や皮膚細胞など、細胞にはいろいろな種類がありますね。どの種類の細胞になるのかについての情報が「エピゲノム」です。
もう少し分かりやすくいうと、「エピゲノム」は、細胞が分裂してコピーを作るときに
「お前は脳細胞」、「お前は皮膚細胞」
という指示を出す情報と理解してもらえればいいです。
さて、この情報にエラーが混ざってしまうと、まちがった指示で細胞(コピー)が作られてしまうのです。
そして、まちがった指示でできた細胞(コピー)がまざると、だんだん組織や臓器がうまく機能しなくなります。
皮膚が劣化していくのは、まちがった指示でできた細胞がまざっているからです。
脳の働きが悪くなっていくのも、まちがった指示でできた細胞がまざっているからです。
これが老化の原因です。
老化の予防法
さて、老化の原因が「エピゲノム情報の喪失」であるということはわかりましたね。
では、どうして「エピゲノム情報の喪失」が起こるのか?そのメカニズムを説明します。
長寿遺伝子
「エピゲノム」に影響を与えるのが、サーチュイン遺伝子などの「長寿遺伝子」と呼ばれるものです。
生物には、「サバイバル回路」と呼ばれる仕組みがあります。
これは、DNAが傷ついたときに、細胞を増殖するのではなく、DNAの修復にエネルギーを振り分ける仕組みです。
この仕組みを担うのが「長寿遺伝子」と呼ばれるものです。
それぞれの「長寿遺伝子」には「持ち場」があります。通常は「持ち場」の細胞の増殖を進めたり、これを抑えたりします。
「長寿遺伝子」にはもう一つの役割があります。
どこかの細胞のDNAが傷ついたとき、それを修復するという役割です。
どこかの細胞のDNAが傷つくと、長寿遺伝子」が「持ち場」を離れてやってきます。DNAの修復が終わると「長寿遺伝子」は「持ち場」に戻って行きます。
「長寿遺伝子」がこのような活動をする際、NAD(ニコチンアダニンジヌクレオチド)という物質を消費します。NADは「長寿遺伝子」が活動するための燃料のようなイメージです。
このように大活躍をしている「長寿遺伝子」ですが、傷ついたDNAが増えて「持ち場」を離れることが多くなったり、燃料の「NAD」が足りなくなったりすると、「持ち場」に戻れなくなることがあります。
このことが「エピゲノム情報の喪失」を引き起こすのです。
まとめると「長寿遺伝子」が十分な働きをしてくれないと「エピゲノム情報の喪失」が起きてしまう、ということです。
つまり、「長寿遺伝子」が十分な働きができるようにする対策が、そのまま「老化の予防法」になる、ということになります。
シンクレア教授のおっしゃる対策は大きく分けて次の3つです。
・「長寿遺伝子」を鍛える
・「長寿遺伝子」の燃料を摂取する
一つずつ説明します。
長寿遺伝子が疲弊しないようにする
まず、「長寿遺伝子」が疲弊しないようにする、です。
「長寿遺伝子」にはどこかの細胞のDNAが傷つくと「持ち場」を離れてかけ、これを修復するという役割がありましたね。
傷ついたDNAが多くなると「長寿遺伝子」が忙しくなって疲弊してしまいます。
疲弊すると「持ち場」に戻ってこれなくなることもでてきます。
ですから、DNAに余計なダメージを与えることを避けること、これが「長寿遺伝子」が疲弊しないようにする、ということになります。
では、どういうことがDNAに余計なダメージを与えるのでしょうか?
シンクレア教授は、次のことはやめるようにとおっしゃっています。
・タバコ
・有害な化学物質
・放射線
喫煙者は今すぐタバコをやめましょう。
食品に有害物質が入っていないか注意しましょう。
紫外線、X線、ガンマ線、屋内ラドンは出来るだけ避けましょう。
長寿遺伝子を鍛える
次は、「長寿遺伝子」を鍛えるです。
体に、DNAを傷つけない程度の適度なストレスを加えると、「サバイバル回路」が作動し、「長寿遺伝子」を活性化させることが分かっています。
そこで、シンクレア教授は、次のことを勧めています。
・食事の量を減らす
・動物性たんぱく質を控える
・適度な運動をする
・寒さに身をさらす
いずれも「長寿遺伝子」を活性化させ、鍛えることができるそうです。
適度な運動をするというのはいろいろな本で推奨されていますね。
スマホの見過ぎが健康に悪影響を及ぼすことを書いた「スマホ脳」でも適度な運動をすることが推奨されていました。なお、この本では、脳科学の知見により、人間の脳とスマホとの相性が悪いことが分かっているので、スマホとの付き合い方を考え直そうと呼びかけており、大変興味深い内容となっています。この本については、別の記事で要約していますので、興味のある方はそちらの記事も読んでみてください。
長寿遺伝子の燃料を摂取する
そして、「長寿遺伝子」の燃料を摂取する、です。
先ほど、NADは「長寿遺伝子」が活動するための燃料と説明しました。NADは抗老化研究のターゲットとして研究が盛んな物質です。
体内にあるNADは、加齢や特定の病気で減少することが分かっています。「長寿遺伝子」を働かせるには、何らかの方法でNADを増やす必要があります。
NADを直接摂取することができればいいのですが、NADそのものは分子量が大きくて、直接摂取してもうまく体内で利用されないのです。
そのため、NADを増やすためのさまざまなアプローチが研究されており、NMNはその一つです。
NMNを摂取すると、体内でNADに変化し、「長寿遺伝子」の燃料となるのです。
まとめると、ここでの結論は、
NMNを飲む
ということです。
NMNは医薬品よりも規制のゆるいサプリメントとして販売されていますので、今後は多くの企業が参入し、値段も下がることが期待できます。
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なお、シンクレア教授は、特定のサプリメントを推薦するつもりはないとしながらも、ご自身は、毎日NMN1グラムを飲んでいるそうです。目安となる純度は98%超えだそうです。
老化の治療法
それでは、最後に老化の治療法です。
結論からいいますと、
まだ研究中
とのことです。
「おいおい、ここまで引っ張ってきてそれかよ。」
とお怒りの気持ちも分かります。
ただ、NAD増強分子など、いくつかの候補となる治療薬の研究は盛んに行なわれており、近い将来に治療法が確立されることが期待できるそうです。
シンクレア教授は自身を持っておっしゃいます。
どの分子を、いつ、どういう人が服用するのが一番いいのか、見極めるにはまだ少し時間がかかるだろう。
それでも、私たちは日々その答えに近づいている。わずか数錠の薬を飲むだけで、健康寿命が大幅に延びる時代は間違いなく来る。
これだけ有望な手掛かりがあり、これだけ大勢の優秀な研究者が取り組んでいて、これだけ機運が高まっているのだ。
そうならないほうがおかしい。
今後の研究に期待しましょう。
おわりに
さて、いかがでしたでしょうか?
シンクレア教授の推奨することを一つでも多く実践することが老化の予防につながると思います。
それらを実践して、「老いなき」体を手に入れようではありませんか。
なお、この記事では割愛しましたが、本書の中でシンクレア教授は「老いなき世界」がやってくることを前提として、環境問題についても、未来の人の問題ではなく、自分達の問題として考えるべきだ、ということも訴えております。もっと詳しく知りたいと思った方は、是非、実際に本書を読んでみることをお勧めします。
ではまた。
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