こんにちは。マチ弁のワタルです。
今回紹介するのは「眠る投資」という本です。
「ハーバードが教える世界最高の睡眠法」
というサブタイトルがついていますが、
その内容はざっくり言うと、
「うつ病」は睡眠と関係がある。
「うつ病」予防のために睡眠を見直そう。
ということです。
日本では、女性の5人に1人、男性の10人に1人が生涯に一度「うつ病」になるといわれています。
意外に多いですね。
特に最近、新型コロナ禍の自粛生活によって、「うつ病」の症状になる人も増えているそうです。
「うつ病」の症状がでるとパフォーマンスは低下しますよね。ビジネスパーソンにとっては致命的です。
これからバリバリ働こうと考えているビジネスパーソンは、是非とも「うつ病」を予防する生活習慣を身につけたいものです。
では、さっそく本書の中身に入っていきましょう。
著者について
まず本書の著者を紹介しましょう。
著者は田中奏多(たなかかなた)さん。
ハーバード大学TMSコースを修了し、
現在は、東京TMSクリニックの院長をされているそうです。
ちなみに「TMS」というのは「経頭蓋磁気刺激法」のことで、薬に頼らない「うつ病」の治療法のことだそうです。
日本では2019年6月からTMS治療が保険適用になっているそうです。
つまり、「うつ病」治療の専門家ですね。
「うつ病」の原因
多くの精神疾患の原因の一つは、脳のネットワークの異常です。
「うつ病」の原因の一つも
脳のネットワークの異常です。
でも、脳のネットワークってどういう仕組み?
って思いますよね。
ここは、ちょっと難しいところですが、できるだけかみ砕いて説明しますね。
脳のネットワークの仕組み
「うつ病」などの精神疾患に関係する脳のネットワークには、三種類のものがあるそうです。
一つは、何かに集中しているときに働くネットワーク。このことを本書では「CEN」と呼んでいます。
これは英語名の略語ですが、わかりにくいので「やる気思考」と呼びます。
もう一つは、過去や未来に思考が分散されたり、
同じことにぐるぐる思考をめぐらせたりするときに働くネットワーク。本書では「DMN」と読んでいますが、わかりにくいので「ぐるぐる思考」と呼びます。
「やる気思考」が活性化しているときは、「ぐるぐる思考」は抑制されます。
逆に「ぐるぐる思考」が活性化しているときは、「やる気思考」が抑制されます。
交感神経と副交感神経の関係に似てますね。
最後の一つは、身体からの情報をキャッチして
「やる気思考」と「ぐるぐる思考」を調整するネットワークです。
本書では「SN」と呼んでいますが、わかりにくいので「調整回路」と呼びます。
人が何かに集中しているときは「やる気思考」が活性化しています。
そのうち、心身の疲れを感じると、「調整回路」がその情報をキャッチします。
そして、「調整回路」は「やる気思考」にブレーキを掛けるよう指示します。
そうすることで「ぐるぐる思考」が活性化します。
「調整回路」はこのようにして、「やる気思考」と「ぐるぐる思考」を調整しています。
ただ、頑張りすぎるビジネスパーソンは要注意です。疲れているのに、〆切が迫っているため、長時間頑張って仕事をしたという経験はありませんか?
これは、「調整回路」の指示を無視して、「やる気思考」が働き続ける状態です。
このような状態が続くと、「調整回路」が上手く働かなくなってしまいます。
「調整回路」が上手く働かなくなり、「ぐるぐる思考」が止まらなくなってしまった状態、
それが「うつ」状態なのです。
脳のネットワークと睡眠の関係
脳のネットワークの仕組みについて、
何となくイメージをもってもらえたでしょうか?
でも、それが睡眠とどう関係あるの?
って思いますよね。
脳内のホルモンが関係しているんです。
一つずつ説明しますね。
まず、「メラトニン」というホルモンです。
これは眠りを誘う「睡眠ホルモン」とよばれています。
「メラトニン」が分泌されると、「脈拍」「体温」「血圧」などが低下して、脳が睡眠の準備が出来たと認識し、眠りに就くことができます。
次に、「セロトニン」というホルモンです。
これは、「幸せホルモン」とよばれています。
「セロトニン」が分泌されると、ストレスによるイライラを抑えて心身の安定や心の安らぎを感じるようになります。
「セロトニン」は夕方以降に「メラトニン」に変わります。
つまり、「セロトニン」が少ないと「メラトニン」も少なくなり、良質な睡眠をとることができなくなる、ということなのです。
そして、「ぐるぐる思考」が働いていると、なんと、脳内で「セロトニン」が無駄に消費されてしまうのです。
その結果、「メラトニン」が少なくなり、良質な睡眠をとることができなくなります。
寝つきがわるくなる、夢をたくさん見る、起きても疲れがとれない。
こうした睡眠の兆候がある人は、知らないうちに「ぐるぐる思考」になっていて、「メラトニン」が少なくなっている可能性があります。
これが「うつ病」の兆候なんですね。
「うつ病」の予防法
さて、良質な睡眠には、「メラトニン」が重要ということを説明しました。
良質な睡眠がとれるような生活習慣、それが、そのまま「うつ病」の予防になるのです。
では、良質な睡眠をとるために、
何をすればいいのでしょうか?
睡眠に関すること
まず、睡眠に関して気を付けることを見て行きましょう。
著者はたくさんのことを挙げていますが、
ここでは、次の2点を紹介します。
・同じ時間に起きて太陽の光を浴びる
・電気を消してお風呂に入る
まず、同じ時間に起きて太陽の光を浴びるのは、
体内時計を作動させるためです。
脳の体内時計は太陽の光をあびると作動します。
太陽の光をあびると「メラトニン」が低下し、
14時間~16時間後に、また増えていきます。
毎朝同じ時間に太陽の光をあびることで、「メラトニン」分泌のリズムが安定し、良質な睡眠がとれるようになるそうです。
次に、電気を消してお風呂に入るのは、電気の光で「メラトニン」の分泌が低下するのを避けるためです。
お風呂場の電気は意外と強いので、「メラトニン」の分泌が低下するのです。
脱衣所の電気だけで薄ぼんやりした中でお風呂にはいることにより、「メラトニン」が分泌され、だんだんと身体は眠る準備をするようになります。
ちなみにスマホのブルーライトにも、「メラトニン」の分泌を低下させる効果があるそうです。
夜寝る前のスマホは控えた方がいいですね。
これについては、「スマホ脳」についての記事で説明しています。興味のある方は読んでみてください。
どちらも、それほど難しいことではないですよね。皆さん、是非、実践してみてください。
食事に関すること
次に、食事に関して気をつけることを見て行きましょう。
ここでも「メラトニン」が重要です。
「セロトニン」が「メラトニン」に変わるということは、既にお話ししましたよね。
その「セロトニン」は「トリプトファン」という物質から作られます。
「トリプトファン」というのは必須アミノ酸ですが、体内ではうまく作ることができないので食事で取り入れる必要があるんです。
つまり、「トリプトファン」の含まれているものを食べよう、ってことですね。
「トリプトファン」が多く含まれている食べ物が何かというと、
肉、魚、卵、豆、乳製品
だそうです。結構、普通ですね。
普段の食事で十分な人も多いのではないでしょうか?
ただ、一つ注意点があります。
「トリプトファン」を脳に運ぶためには、
炭水化物が必要だそうです。
糖質制限をしている方は要注意ですね。
炭水化物も一緒に食べましょう。
運動に関すること
次に、運動に関して気を付けることを見て行きましょう。
ここでも「メラトニン」が重要です。
「メラトニン」は「セロトニン」が変わったものだということは、既にお話ししましたよね。
運動をすると、脳内に「トリプトファン」が運ばれ、「セロトニン」の濃度が上昇します。
食事で「トリプトファン」をとるだけでなく、運動を組み合わせることで、効率よく脳内に「トリプトファン」を運ぶことができるのです。
こうして「セロトニン」が増え、それは「メラトニン」に変わり、良質な睡眠を助けることになります。
でも、運動って、どれくらいやればいいの?
っておもいますよね。
著者のオススメは、
朝15分、夕方15分の早歩き
だそうです。
それくらいならあまり負担にならないですね。
通勤でそれくらい歩いている方も多いのではないでしょうか?
ただ、最近は新型コロナ禍の自粛生活で、通勤する機会が減ったという方もいると思います。
そういう方は、意識的に歩く時間を作った方がいいですね。
脳に関すること
最後に、脳に関して気を付けることを見て行きましょう。
「うつ病」の原因の一つが脳のネットワークの異常だということは、既に説明しましたよね。
やはり、普段からできるだけ脳を無駄に疲れさせないようにすることが「うつ病」の予防になります。
著者は、いくつか脳を疲れさせないコツを挙げていますが、ここでは、そのうちの3つを紹介します。
・できるだけルーティーン化する
・大きな仕事を分割し「ちょっと」だけやる
・シングルタスクにする
ルーティーン化
まず、ルーティーン化というのは、意思決定する量を制限するためのものです。
人間は意思決定するたびに脳に負担がかかる生き物です。
本当に使いたい意思決定に脳を使えるようにするには、日常生活をできるだけルーティーン化しておく方がいいのです。
例えば、朝起きてすることと、帰宅してすることなどで、時間がなくても日常的に行うことをルーティーン化することがオススメだそうです。
分割して「ちょっとだけ」やる
次に、仕事を分割して「ちょっと」だけやる、
というのは、取り掛かるまでの脳の負担を減らすコツになります。
時間がかかりそうな仕事や、経験したことのない仕事に取り掛かるのは、おっくうですよね。
できればやりたくないという気持ちになり、
ついつい後回しにしてします。
でも、「アレやらなきゃな。」と頭のどこかで気になっていて、ずーっと気分が晴れない。
皆さんにもそんな経験があると思います。
「ぐるぐる思考」になりやすい状態ですね。
このような状態では脳には結構な負担がかかっています。
そんなときには、仕事を分割して「ちょっと」だけやることが脳の負担を減らすコツです。
資料を1ページだけ読むとか、ひとつだけ調べものをするとか、その程度で十分です。
私も経験ありますが、何もしないときに感じていた、何か気分が晴れない状態ではなくなります。
それに、「ちょっと」だけしかやってないのに、段々とやる気が出てきます。
皆さんも、是非、「ちょっと」だけやるを実践してみてください。
シングルタスク
そして、シングルタスクですね。
「ながら」仕事はやめましょう、ということです。
目の前の仕事をしているときに、ほかの仕事を思い出し、ちょっと、そっちの仕事をやってみる、という経験はありませんか?
こういうのも脳に負担がかかる仕事のやり方です。しかも、どちらの仕事にも集中できていないので、仕事の効率も下がってしまいます。
できるだけ一つの仕事に集中できるような環境をつくる。それが、脳の負担をへらし、仕事の効率も上がるコツなのです。
なんか、最後は睡眠の話から離れてしまったような気がします・・・。
おわりに
さて、いかがでしたか?
本書は「うつ病」の予防のために睡眠を見直そうという内容でした。
私は、既に「同じ時間に起きて太陽の光を浴びる」ということは実践しているので、「電気を消してお風呂に入る」ということを生活習慣に加えていこうとおもいます。
皆さんも、本書で紹介されたことを一つでも生活習慣に取り入れ、「うつ病」を予防してください。
最後に著者の言葉を引用しておきます。
睡眠は毎日おこなうからこそ、
ただの睡眠と、投資としての睡眠では、
大きな差が生まれます。
ではまた。
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