数年後、あなたの仕事は無くなるかも。今から何をすればいい?~「2025年を制覇する破壊的企業」のレビュー

ビジネス書

破壊的企業の高層ビル
写真:ディラン・ラピエール・オン・アンスプラッシュ

こんにちは。マチ弁のワタルです。

今回紹介する本は、「2025年を制覇する破壊的企業」です。

2025年、世の中はどうなっているのか?
そんなこと考えたことありますか?

「単純に4つ歳をとるよね。けど、そんなに変わってないんじゃない?」

「まぁ、コロナのワクチンができて、感染をそれほど気にしなくてよくなっているよね。」

っていう程度に思っている人がほとんどではないでしょうか。私もその程度に思っていました。

ところが、著者は2025年には「破壊的企業」によって、世の中は激変すると予測しています

「破壊的企業」により多くの企業が破壊され、又は飲み込まれる。

そして、未来を生き抜くには5つのスキルが必要になる。

え?どういうこと?ってなりますよね。

では、さっそく、中身に入って行きましょう。

著者

著者は、山本康正さん。
東大で修士号を取得後、アメリカの金融機関に就職し、ハーバード大学院で理学博士号を取得。
その後、グーグルに入社し、フィンテックや人工知能(AI)などで日本企業のデジタル活用を推進してきたそうです。

現在は、ハーバード大学客員研究員であり、京大大学院総合生存学館特任准教授を務めつつ、ベンチャーキャピタリストとして活動しているそうです。

最新テクノロジーの知識を持ち、グーグルという大企業での経験もあり、
新たなテクノロジーを生み出しているベンチャー企業の動向にも詳しいので、十分に信頼できると思います。

1981年生まれだそうで、まだ若いのにすごいですね。

破壊的企業

さて、著者が「破壊的企業」と呼んで本書で紹介しているのは11社です。

「GAFA」ってことばは聞いたことありますよね?
グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルという大企業の頭文字をとったことばです。

この4社も「破壊的企業」に入っているのですが、それだけじゃないんですね。

これに、次の6社が加わります。

・マイクロソフト
・ネットフリックス
・テスラ
・インポッシブル・フーズ
・ロビンフッド
・クラウドストライク
・ショッピアイ

この11社が2025年を制覇する「破壊的企業」です。

以下では、それらのいくつかを紹介します。
全部は紹介できませんが、紹介できなかった企業気になる方は、是非、本書を手にとってみてください。

グーグル

まず、ご存知、グーグルです。
誰もが使っている検索エンジンですね。ユーチューブやアンドロイドを買収した企業としても有名ですよね。

グーグルは、近年、クラウドや人工知能周りの技術開発に力を入れているそうです。

さらに、グーグルは、検索後の世界から「検索前」の世界へ進出しようとしているそうです。

どういうことかというと、私たちが欲しい物や情報を求めてネットで検索をする前に、一人ひとりに合った情報を提供するようなシステムを考えているそうです。

そんなこと本当にできるの?
って思いますよね。

でも、技術的にはできるんだそうです。
すごいですね。

アマゾン

次は、アマゾンです。
世の中の書店を駆逐しましたね。本以外の商品の販売もアマゾンで購入する人も多いのではないでしょうか。

最近では、AIアレクサ、そして、これを搭載したアマゾン・エコーが有名ですね。これまで家の中の物としか交信しなかったアレクサですが、今後は屋外に設置し、屋外のものとも交信できるようにすることを目指しているそうです。

例えば、アレクサが設置されたお店では、「アレクサ、支払しておいて」というだけで支払がすんでしまう、そんな世の中になることが予測されます。

さらに、アマゾンは、最近、ローン、保険と言った金融事業へも進出しています。

今後は、アマゾンの購入履歴から与信判断を行うサービスを展開するのではないかといわれています。

本当かよ?って思いますよね。

そうなったら、金融機関は大打撃でしょうね。
まさに「破壊的企業」ですね。

フェイスブック

次は、フェイスブック。
利用している人も多いですよね。インスタグラムを買収したSNSのドンといっていいでしょう。

フェイスブックは、2019年に「Horizon(ホライズン)」というサービスを発表しました。これは、ネット上の仮想空間で「アバター」と呼ばれる自らの分身を通じて他の参加者と交流できるというものです。

フェイスブックは人同士のコネクションにフォーカスしたサービスを展開していますね。

最終的には、生活の全ての基点がフェイスブックで行われるようになるような、いわゆるスーパーアプリになることを目指しているそうです。

さらに、最近では、ブロックチェーン技術を活用して開発した、フェイスブック独自の通貨「リブラ」を広めようとしています。

通貨にまで手を広げるなんて、ちょっとびっくりですね。

アップル

GAFAの最後は、アップルです。
iPhon、アップルウォッチで有名ですね。

実は、アメリカではクレジットカード「Apple Card」を発表し、金融事業に参入しました。

さらに人間の五感に関するデバイスに注力しています。

ワイアレスイヤホン「AirPods(エアポッズ)」で聴覚を支配し、2021年内に発表されるというAR(Augmented Reality)メガネの「Apple Glass」で視覚を支配しようとしています。

そのうち嗅覚に関するデバイスも開発しそうです。

アップルの事業展開は、すべてiPhonへの囲い込むためのものだといわれています。

iPhon利用者は、iPhonなしでは生きていけないようになるかもしれませんね。

マイクロソフト

GAFA以外の「破壊的企業」では、
まず、マイクロソフトです。
コンピューターのOS「Microsoft Office」は多くのひとに利用されています。

一時期、低迷していたように見えたマイクロソフトですが、ここへきて盛り返してきているそうです。

マイクロソフトが力を入れているのはクラウド化です。

現在、クラウド化が民間では当たり前になっています。国や自治体のシステムにもクラウド化の動きがあります。

マイクロソフトは、アマゾンとの入札競争に勝ち、アメリカの政府のクラウドシステムの受注し、復活することに成功しました。

現在、世界中でスマートシティのプロジェクトが進められています。

スマートシティとは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の技術で、ライフラインとなるサービスを効率的に管理・運営して、
環境にも配慮しつつ、人々の生活の質を高めることを目的する新しい都市のことです。

マイクロソフトはスマートシティのOSの覇者を狙っているとみられています。

スケールが大きいですね。

ネットフリックス

次は、ネットフリックスです。
動画ストリーミングサービスの会社ですね。最近は、日本でもたくさんの利用者がいますよね。

日本では、アマゾンプライムやHulu(フール―)その他いくつものストリーミングサービスがありますが、アメリカではネットフリックスの一人勝ちだそうです。

その理由は、視聴者一人ひとりに合わせたサービスです。

視聴者一人一人の年齢、好み、これまでの視聴履歴などを元に、視聴者がいま観たい番組をソムリエのように一人ひとりにチョイスしてトップ画面に乗せています。

今後は、視聴者によってエンディングやシナリオが異なる動画を配信することも可能だといわれています。

同じタイトルの動画を見ても人によって内容が違うってこと?その動画の話をしても、話が合わなくなるんじゃない?

でも、それはそれでおもしろいかも、ですね。

テスラ

最後に紹介するのはテスラです。
アメリカで電気自動車を製造・販売している会社です。最近、CEOのイ―ロン・マスク氏が世界一の富豪になったとの報道がありましたね。

テスラの電気自動車はスポーツカーのようなデザインで環境にもやさしいということで、アメリカでは非常に人気があるそうです。

日本ではみかけませんが、値段は500万円くらいするのに、アメリカでは100万台も売れているそうです。

テスラの電気自動車のコンセプトは「タイヤのついたスマホ」らしいです。

これまでの自動車業界とは全くちがう発想ですよね。

いずれ実現できるといわれる自動運転についての最有力企業の一つだと思います。

3つのメガトレンド

さて、いくつかの「破壊的企業」を紹介してきました。

では、「破壊的企業」によって何が起こるのでしょうか?

著者は、次の3つのメガトレンドが起こると予測します。

・業種の壁が崩壊する

・体験が軸になる

・データを制するものが未来を制する

どういうことでしょうか?

一つずつ説明しますね。

業種の壁が崩壊する

著者は、業種の壁が崩壊し、コングロマリット化が再来する、といいます。

どういうことでしょうか?

これは、例えば、アマゾンやアップルが金融業界に参入するようなことです。このことは金融業界に大きな衝撃をあたえました。

これまでは、ある業種で大きな成果を出している企業であっても、他の業種に参入することはほとんどありませんでした。

業種ごとに必要なノウハウが異なっており、ノウハウのない業種に参入しても利益を出せないからです。

本を販売する会社が保険を作ったり、携帯電話の会社がクレジットカードを作ったり、ということはこれまでありませんでしたよね。

ところが、クラウドや人工知能(AI)のような新しいテクノロジーの出現により、時代はかわりました。

そのような新しいテクノロジーが「破壊的企業」の武器になったのです。

「破壊的企業」は業界の壁を乗り越えることに何のためらいもありません。業界の壁を気にすることなく、コングロマリット化をすすめていきます。

コングロマリットというのは、多種の業種・企業を統合してできた巨大企業集団のことです。

これまでにもコングロマリットはありました。

ただ、旧来のコングロマリットは、本業で設けた資産を他の事業に展開するという、分散投資を目的とするのものでした。

「破壊的企業」が行うコングロマリットは、目的が全く違います。その目的はデータ収集です。

多種の業種・企業の事業で収集したデータを元に、新たなサービスを提供しようとしているのです。

だから、クラウドや人工知能(AI)のような新しいテクノロジーが武器になるのです。

「破壊的企業」にとっては、すべての事業で利益を出す必要はありません。ある事業でデータ収集ができるのであれば、その事業で利益がなくても、他の事業で利益を出すことが出来るからです。

例えば、アップルはクレジットカード「Apple Card」で利益がでなくてもいいんです。データを収集できれば、それをiPhonの顧客の囲い込みに使って利益を出すことができるからです。

これは大変なことですよね。

これまで、利益をだすために、価格やサービスの質で切磋琢磨してきた業界に、突然、利益を度外視した「鬼」がやってくるようなものです。

これでは、普通の企業が戦えるわけがありません。

アマゾンやアップルが金融業界に参入したことにより、今ある金融会社は駆逐されるか、飲み込まれるおそれがあります。

ほかにも、例えば、「破壊的企業」の一つである「ロビンフッド」は、証券業界初の「売買手数料0円」を打ち出して参入してきました。

その後、これに追随して「売買手数料0円」とする企業もでてきましたが、多くの顧客は「ロビンフッド」に流れて行きました。

このように、「破壊的企業」はデータを収集するために、コングロマリット化を進めており、業界の壁は崩壊します。

これが今後のメガトレンドの一つです。

今後、特定の事業に特化しつづける企業は、「破壊的企業」に駆逐されるか、飲み込まれる可能性があります。

体験が軸になる

二つ目のメガトレンドは、ハードでもなく、ソフトでもなく、「体験」が軸になるということです。

どういうことでしょうか?

著者がおっしゃるには、

A社はハードウェアカンパニー、B社はソフトウェアカンパニー、C社はサービス業。
一昔前にあったことのような業種のくくりや壁は、意味をなさなくなります。ハード、ソフト、サービス。これら3つの領域すべてを押さえることに意味があるからです。逆の言い方をすれば、どれか一つの領域しか手掛けていない企業は、GAFAのようなコングロマリット企業に飲み込まれて行きます。

だそうです。

でも、どうして「体験」が軸になるんでしょうか?

未来の世界ではこのように、すべての領域を押えた上で、いかにユーザーが望む体験を提供できるか。その良し悪しが、ビジネス成否のポイントになります。
体験がビジネスの基点になっていきますから、企業はいかにより良いサービスにアップデートできるかに、力を入れていきます。

だそうです。

まだ、ちょっと分かりにくいですね。
ちょっと具体例をあげましょう。

例えば、アマゾンは、アマゾンエコーというハードウェアをつくり、アレクサというソフトウェアを開発し、AWS(アマゾンウェブサービス)というクラウドサービスを提供しています。

そして運送では、アマゾンプライムのようなシステムで、顧客のハートをがっちりつかんでいるプランも持っています。

このようにすべての領域を押えた上で、アマゾンらしいサービス、つまり「体験」を提供することに注力しているそうです。

もう一つ、テスラの例をあげます。
テスラの車は、インターネットでクラウドとつながっていて、2カ月ごとにソフトウェアがアップデートされます。

そして、その都度、機能が追加され、性能が良くなっていきます。

例えば、バッテリーの減りが遅くなり、充電回数も少なく済むようになったり、ブレーキの性能がアップしたり。

ガソリン車ではありえないような質向上という「体験」を、ソフトウェアをアップデートすることで、いとも簡単に実現しているのです。

物を売っておしまい。
仕組みを売っておしまい。
という時代は終わったということですね。

つかんだ顧客に対し、いかによりよいサービスをアップデートし、その「体験」を提供できるかに力を入れているということのようです。

このように、顧客に「体験」を軸とするサービスをを提供するという視点で事業展開することが、
今後のメガトレンドの一つです。

データを制するものが未来を制する

さて、業界の壁を超えるコングロマリット化、「体験」を軸としたサービスの提供、といったトレンドを活かすには、できるだけ多くの顧客データを収集する必要があります。

そのため、今後も「破壊的企業」はデータ収集に力を入れていくことになります。

まぁ、これは分かりやすいですよね。

グーグルは、検索エンジンやアンドロイドで既に多くの顧客のデータを収集しています。

アップルも、iPhonやアップルウォッチでで既に多くの顧客データを収集しています。

アマゾンも既に電子商取引で多くの顧客のデータを収集しており、アレクサが町中に設置されるのも顧客の行動データを収集するためです。

フェイスブックは、フェイスブックやインスタグラム内でのコメントや写真からデータを収集しています。

テスラは公道を走っている約100万台の車両に搭載されているカメラやセンサーでデータを収集しています。

「破壊的企業」はデータの取得や顧客の囲い込みに躍起になっており、この流れはこれからますます過熱していきます。

これが、今後のメガトレンドの一つです。

2025年に破壊される企業

さて、著者は、2025年に破壊される業種を予測しています。

テクノロジー化が遅れている、データの活用が進んでいない企業が多い業種が危険であり、特に、次の8つの業種が特に危険だそうです。

・自動車の中間業者
既にアメリカでは、テスラがインターネットで購入できるそうです。そうなると中間業者は不要になりますよね。

・小売業
既にアメリカでは、老舗の百貨店が次々と破綻しているそうです。いずれ日本でも同じことが起こるでしょうね。

・エネルギー
テスラは既に太陽光事業に参入しており、今後も業界の壁を超えて参入してくる企業が増えてくると予想されるそうです。

・金融業
アマゾンやアップルが金融業に参入したほか、ロビンフッドのような企業がでてきており、同じサービスを安く提供してきています。既存の金融業者は相当な苦戦を強いられそうです。

・家電
データが取得できるアマゾンの冷蔵庫のような家電がこれからますます増えると予測されます。アマゾンは家電事業単体で利益を出す必要がないので、安く提供できます。そうなると既存の家電業者は苦戦を強いられますね。

・ゲーム
これからのゲームはネットにつながっていることが標準機能になります。この機能が標準でついていないゲーム会社は苦戦を強いられますよね。

・システム
日本の企業の情報システムは、クラウドを使わず、企業内に機器を設置してシステムを導入・運用するのが主流です。
ところが、アメリカでは、クラウドでシステムを構築するのが広まっています。
今後もこの流れは止まらないので、システムを作ることを業務としている方(エスアイアー)は、職を失う可能性が高いですよね。

・対面の教育
これからはリモートでの教育が広まっていくと予想されます。そのため、対面での教育サービスに固執する企業(塾、英会話教室など)は苦戦を強いられますよね。

2025年に必須の5つのスキル

さて、著者は、2025年の未来を生き抜くには、次の5つのスキルをもっておくことが重要だとおっしゃいます。

・英語
・ファイナンス
・データサイエンス
・プログラミング
・ビジネスモデルが読める

どの程度のスキルが必要なの?
って思いますよね。

一つずつ説明しますね。

英語

英語については、英語版のビジネスニュースが理解できる程度、だそうです。

理由は、最先端、特にテクノロジー界隈の情報は、日本語に訳される記事がごく一部なので、英語版のビジネスニュースが読めないと、情報が遅れるからだそうです。

ファイナンス

これは、証券アナリストの資格試験に必要な程度の知識だそうです。

経済人として知っておくべき知識を取得しておかないと、世の中の動きが分からないからだそうです。

データサイエンス

これは、今であれば、ディープラーニングの意味、ディープラーニングがあれば何ができるのか、逆に、何ができないのかといった割と一般的な知識をしっかり身につけるということのようです。
これも、世の中では、どのような技術が開発されようとしているのかを理解するためのようです。

プログラミング

プログラミング言語「Python(パイソン)」を学ぶのがオススメらしいです。

ただし、プログラマーのようなスキルまでは必要ではなく、あるシステムがどのような仕組みのコードで、それがどのうな動き、サービスが可能となっているのかを理解できる程度だそうです。

ビジネスモデルが読める

これは、身の回りで使われているサービスが、どのような構造になっていてどうやって利益を得ているのかを理解することです。

それにより、そのサービスに関連する企業とのつながりが理解でき、ビジネスチャンスにつなげることが出来るようになるそうです。

おわりに

さて、いかがでしたでしょうか?

「破壊的企業」がどんどん顧客データを収集し、いろいろな業種を飲み込んでサービスを提供するようになる未来。

それは、私たちの生活にプラスになることもあるでしょう。

ただ、それによって、破壊又は淘汰される企業もたくさんでるでしょう。

それらの企業で働く人々はどうすればいいのか?

著者のいう5つのスキルは、なかなかに難しそうです。まだ若い世代であれば取り組むこともできるでしょうが、中年以降の世代はどうでしょうかね?

まぁ、いずれにせよ、「破壊的企業」は現実に存在しており、その影響力が拡大することは間違いなさそうです。

私たちにできることは、「破壊的企業」の動きを予測し、それに備えることくらいです。

とりあえず、ガソリンカーを買うのはやめておいた方がよさそうですね。

私は、テスラの自動運転開発に期待し、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Neo 自動運転」の投資信託を買いました。

皆さんも、本書の内容をご自身の今後の行動に活かしてみてはいかがでしょうか?

ではまた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました